小千谷縮の技法

越後上布に改良を加えたのが小千谷縮です。江戸中期の寛永10年(1670年)、明石藩の浪士・堀 次郎将が小千谷に移住し、本来の製法に改良を加えました。糸の段階で緯(よこ)糸に強い撚りをかけて布を織り、織り上がった布をお湯の中で丹念に強くも揉み込みます。すると織物が縮もうとする性質を利用してシボ(細やかな皺)が形成され、独自の触感を持った小千谷縮が生まれるのです。そしてこの貴重な技術は、世界に認められる独自の技術を有する証明となりました。

2009年 ユネスコ世界文化遺産登録
1955年 国重要無形文化財第一号指定

重要無形文化財の指定条件
昭和30年5月12日指定
1.すべて苧麻を手績みした糸を使用すること。
2.絣模様をつける場合は、手くびりによること。
3.いざり機で織ること。
4.しぼとりをする場合は、湯もみ、足ぶみによること。
5.さらしは雪ざらしによること。

↓ 小千谷縮の全作業工程をご覧いただけます。


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雪晒し

江戸時代のベストセラー 鈴木牧之著・北越雪譜 から
雪中に糸となし 雪中に織り 雪水に濯ぎ 雪上に晒す
雪ありて縮あり 雪こそ縮の親と言うべし

―単なる雪国の風物詩ではなく、単なる見世物でもない、そこには立派な根拠が示されています―

◆雪晒しは何故行われてきたのか
古来より雪上に晒す事で、麻生地が漂白されるとの先人の知恵であり、冬の厳しい時期に糸を紡ぎ、手織りで丹念に織り上げていくという、雪国の暮らしならではの作業が、今日まで伝えられてきました。

◆どんな時期に、どんな場所で、どんな条件で行われてきたのか
冬の厳しい2~3月、晴れた日で雪上の表面が凍り、空気が澄みわたり、雪上に汚れがない事が条件でした。

◆科学的な根拠はあるのか
晴れた日には強い紫外線が発生し、雪に反射して増幅された紫外線により、雪の表面が溶け水蒸気となり、分解して空気中の酸素と結合、O3オゾンが発生すると言われています。オゾンは麻の繊維色素と結合を繰り返し、麻布が漂白されます。

◆どんな効果が認められたか
染め上げられた麻糸は更に鮮やかさを増し、色柄を引き立てさせます。繊維の奥深く効果は見られ、糸そのものの膨らみが出て、織物全体がふっくらと感じられ、雪国の風土を包み込んだ逸品が誕生するのです。麻布は水に強く丈夫で、吸水性吸湿性に富み、発散性があります。また放熱性にも優れ、夏の衣料として機能性に富んだ逸品なのです。

湯もみ

湯もみは「ちぢみ」の最終工程であり、独特の「シボ」を表現する重要な作業です。現在でも職人の手シボで表現しています。緯糸に強い撚りをかけた織物を、湯もみ時の手の加減の調整により細やかなシボができます。

●湯もみ作業工程

縮関連商品

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